ついにWorlds2020(WCS)ノックアウトステージが始まりました。
最初のマッチアップはDWG vs DRXです。今回、試合内容が面白いという感じではなかったので、これまでの観戦日記とは趣向を変えてバンピックを中心に書いてみようと思います。最後に、先日始動した「Bli2君」プロジェクトに関しても触れています。ぜひ読んでみてください!
- Game1:DWG (Blue) vs DRX (Red):DRX、CCがないぞ?
- Game2:DRX (Blue) vs DWG (Red):Global Ult持ちが3人!?
- Game3:DRX (Blue) vs DWG (Red):ヴェルコスmid登場!?目を見張るテクニックも!
- Bli2君 プロトタイプ1号 DWG vs DRX 勝率予想 考察
- 最後に
Game1:DWG (Blue) vs DRX (Red):DRX、CCがないぞ?
1st Ban Phaseにおいて、DRX側はおそらく今のメタjgであるグブ・リリアに対して、Pyosikならキンドレッド(Pyosikのメイン)で対応できるという読みで、1st Banでニダリーをバンしていそう。その他は、シェン・ガリオ・TFのglobal ult持ちをバンしていて、お互いサイドレーンにプレッシャーをかけられるのを嫌った形になっている。DWGのシェンに関しては、シェンが他のレーンに飛んでアクションを起こされると、Nuguriの強さが発揮できない時間ができてしまうことを嫌ってのピックに見えます。
1st Pick Phaseの部分で、ポイントになるのはShowmakerのシンドラを見た後のChovyのオリアナピックです。チャンピオン性能上、序盤はシンドラがレーンの主導権を握ることになります。そのため、これまでDRXが見せていたキンドレッドのファームを助ける動きというのはしにくくなります。
2nd Ban Phaseで、DRXはパンテオン・ブリッツというメイジサポートのカウンターをバンしています。このことから、DRXの狙いがケイト・ラックスだとわかるので、最後にDWGがラックスバンで対応しています。DWGのオーンバンは、topのレーン戦を拒まれるのがいやだったからだと思います。
2nd Pick PhaseでDRXは、ラックスの代わりにルルをピックしました。一応、top運用もありえるピックです。それに対して、Nuguriはケネンをピックします。グループステージでルルに対してケネンで勝っていたので、サポートで使えよという感じでしょうか。サポートにはレオナをピック。エンゲージスキル持ちのタンクサポで優秀ですね。DRXは最後にジェイスをピックして、序盤アクションを起こすならtopかなという狙いのピックになりました。
全てのBanPickを終えて、改めて全体の構成を見ると、DWGはレオナのエンゲージとケネンのバックラインへの飛び込みといった集団戦を行う要素があるのに対して、DRX側はエンゲージ要素もなくCCも薄いです。実況解説やTwitterでも問題に上がっていましたね。
試合展開としては、DWGがゆっくりと終わらせていったという感じで、特に面白かったシーンはないです。オリアナピックのところで言及したように、キンドレッドの最初のスタックが7分時点と遅く、DRXが序盤から苦しく何もできなかったように見えました。
ちなみにですが、この試合前までDWGはBlueサイドで24連勝中だったらしく、連勝記録は継続となりました。
Game2:DRX (Blue) vs DWG (Red):Global Ult持ちが3人!?
今大会のRedチーム側の1st Ban Phaseは、これが正解な気がします。とりあえずルシアンだけは認めずにバンして、jgのopチャンピオンはどれかが使えるなら空けておくというのが分かりやすいです。
特徴的なのは、DRX側がセナも含めると3体のglobal ult持ちという構成をとったことです。明らかにNuguriの先出オーンに対してプレッシャーをかけていくことが狙いですね。そんな中、注目されたDRXのラストピック、topチャンピオンはジャックスでした。レートスケールは最強クラスのチャンピオンですが、ゲーム全体に対する影響力が大きくなる時間は比較的遅いです。それに対して、DWGはアフェリオスをピック。度重なるナーフでレーン戦が非常に弱くなったチャンピオンですが、対面がセナだと安全にファームできるし、パワースパイクが遅くなっても問題ないだろうという感じでしょう。
DRXの構成は、ガリオのタウントとジャックスのスタンがあるのでCCは先ほどよりありますが、以前エンゲージ要素が薄い構成です。一方、DWG側はTFのゴールドカードという強力なCCとオーンのエンゲージがあるので、集団戦のしやすさで言えばDWGが有利だと考えられます。
この試合は、中盤DRXがゴールド優位を作り、このままジャックスがスケールして勝ち切るのかと思われましたが、動画34:06~の集団戦を機にDWG側が逆転しました。Nuguri選手のオーンの集団戦のパフォーマンスがすさまじいですね。1回の集団戦で何回打ち上げを入れてるんだ...
また、小話ですが、ここまでの2ゲームで発生したキルの数は31で、G2とSuningの1ゲーム43キルを下回っています。それに関して、Twitter上で以下のような論争が起きていました。正直に言うと、筆者もGame1の途中うたた寝して見逃した部分もあります...
-G2 vs. SN (1 Game) 43 Kills
— LPL (@lplenglish) 2020年10月15日
⁰-DWG vs. DRX (2 Games) 31 Kills
😴😴😴
The LCK playstyle is BORING! Maybe the worst I've seen. Sad!
— G2 Esports 👑 (@G2esports) 2020年10月15日
Don't settle for good macro. A vote for G2 is a vote for the west! pic.twitter.com/RJTh8Qiv0f
People saying LCK games are boring...
— LCK Global (@LCK_Global) 2020年10月15日
yeah lots of children aren't really excited about Shakespeare but that doesn't mean it's not art
¯\_(ツ)_/¯
Game3:DRX (Blue) vs DWG (Red):ヴェルコスmid登場!?目を見張るテクニックも!
ブラッドミアはグループステージの最終戦にDRXがTESにされたピックですね。レートゲームの強さは折り紙付きです。DRXのブラウムサポートピックは気になるところです。これまでPlay-InステージでLGDなどがオーンのult対策としてブラウムをピックするケースがありましたが、上手く機能している印象はありません。
このゲームのピックで最注目は、なんといってもChovyのヴェルコズmidでしょう。プロシーンでは見たことがありません。動画で実況解説が指摘していたのは、レーンのコントロールをGame1と同じく渡してしまうという点です。Game1ではコントロールを渡した影響でキンドレッドが苦しい状況になりましたが、今回は逆にキンドレッドのファームを助ける要因になったと思われます。実際、13分30秒で4スタック、19分で7スタックと順調に進んでいきました。Game1では7分の段階でようやく1スタックだったのと大きな違いですね。
その後も、スケールしたブラッドが暴れるというシーンは訪れず、DWGがストレート勝ちを収めています。
構成を見るとDRXはまたもエンゲージ要素がない難しい構成でしたね。DWG側は、Game2とGame3の、Nuguri選手のオーンのパフォーマンスが光りました。
また、この試合では目を見張るような青トリンケットの使い方が見られました。
Next Level Blue Trinket Mechanics #Worlds2020 pic.twitter.com/LshjmxoiZv
— LoL Esports (@lolesports) 2020年10月15日
筆者も他の方のツイートを見るまでは、どこのことを言っているのかさえ分からなかったのですが、グレイブスが逃げる経路に青トリンケットをおいて意図的にミスクリックを起こしています。この青トリンケットを置いたのはオリアナを操るShowmakerですが、いったいどれほどLoLが分かっているんだと恐ろしささえ感じます。
Bli2君 プロトタイプ1号 DWG vs DRX 勝率予想 考察
実はDWG vs DRXの準決勝の裏で、Bli2君の試運転を行っていました。Bli2君は簡単に説明すると、LJLの実況解説で登場した勝率予測モデル ブリッツ君(?)を、個人的に再現しようという試みで作っている勝率予測モデルです。現在のBli2君はピックチャンピオンをもとに勝率予測します。チームの構成や対面との相性を考慮できるようなモデルでは現状無いので、学習データの中でのメタチャンピオンをピック出来ているかどうかを軸に予測していると考えられています。詳しくはぜひ過去の記事を読んでください!
前回の記事からの違いとして、データの取得・処理をやり直したところ、KRチャレPatch10.19のデータ数が100増えました。学習し直したところ、Bli2君の考えるチャンピオンの重要度に変動があったので再掲します。バードを見ると、BlueとRedでかなり差があるので、この理由が分かれば面白いかもしれませんね。Blueで上位に来ているチャンピオンは、1st pickで取って安定するチャンピオンがランクインしている印象です。
Game1
Bli2君プロトタイプ1号
— Yuta (@YutaBlog555) 2020年10月15日
DWG (Blue) vs DRX (Red) Game1 勝率予想
55% - 45%: DWG win
Game1は見事的中しました。
この重要度に関して、絶対値のスケールは特に意味を持たないと思うので、各対面の値を相対的に見ていきます。グブ - キンド・ジン - ケイトの間でかなりBlue側の値が大きいですね。キンドレッドはチームにファームを助けてもらわないと難しい場合が存在するのと、ケイトは度重なるナーフでメタから落ちたためだと考えられます。
ケネン - ジェイス・レオナ - ルルの間で、かなり差が大きいのは意外でした。ジェイスはかなり難しいチャンプで勝率がいいわけではないと思いますし、レオナは評価の高いサポートだと思っていました。ルルはフレックスの可能性を残していることも、評価の高さに影響しているかもしれませんね。
Bli2君の考えた通り、jgとadc間で試合中に差が出ていたように感じましたし、逆にアクションを起こしたいケネン - ジェイスのマッチアップでNuguriがそれを許さなかった、というのが試合を決めたと考えられます。
Game2
Bli2君プロトタイプ1号
— Yuta (@YutaBlog555) 2020年10月15日
DRX (Blue) vs DWG (Red) Game2 勝率予想
55% - 45%: Blue team win#Worlds2020
Game2はDWG winなので予想は外れました。
2つ気になる点がありますね。
1つはアフェリオスの評価が想像よりも低くないこと。度重なるナーフで姿を消したチャンピオンですが、逆にピックしても大丈夫な時しか出てこないということで、Bli2君の中での評価がそれほど低くなっていないと思われます。
もう1つは、オーンの評価の低さ。Worlds2020では、Play-Inステージからメタに躍り出たチャンピオンの代表ですが、Bli2君の評価はかなり低いですね。SoloQのデータということもあって、フルでVCが繋がっているプロの試合と比較して、集団戦で活躍しにくいといった要因があるかもしれません。
おそらくレッドチームのオーンの評価の低さもあって、Bli2君はBlueチームを勝利予想にしています。実際、途中まではDRXがゴールドアドバンテージをとる展開で、おしかったと思います。このような試合で最初の予想を外してしまうことを、筆者はむしろ良いことだと思っていて、このような不確実な逆転要素があるからこそLoLは面白いですし、勝率予測モデルの存在も許容されると考えています。
Game3
Bli2君 プロトタイプ1号 Win Rate Prediction !!
— Yuta (@YutaBlog555) 2020年10月15日
Knock-out Stage DWG vs DRX Game3
DRX (Blue) vs DWG (Red)
59% - 41%: Blue team win#Worlds2020
予想は当然外れましたし、筆者もこの出力に関しては全く信じていなかったです...
まず突っ込みたいのはヴェルコズの重要度0です。これは、ピック回数が全くないから0なのか、ピックされても影響力がないから0なのか、要確認事項ですね。
その他ですと、ブラウムの評価が低いのは、これまでのWorldsを見てこられた読者の方でしたら、納得していただける点かなと思います。意外とブラッドミアの評価が高いですね。スケールするまで耐える時間が長いチャンピオンなので、SoloQではもう少し評価が低いと思っていましたが、オーンよりも評価が高くなっています。
Bli2君がBlueを勝利予想した理由として考えられるのは、グレイブスとキンドレッドの評価の差が1つと、ヴェルコズという知らない要素が入って正常に予測できなかったかもしれないというものが考えられますが、正直よくわからないですね...
最後に
ここまで読んでくださってありがとうございます。今回の観戦日記は、これまでと少し趣向を変えてみましたが、いかがだったでしょうか?
Bli2君の勝率予測は、今後のWorldsの試合でも筆者のTwitterで更新していく予定なので、気になる方はぜひチェックしてみてください。また、モデルの改良自体も行っていくので、記事の更新も楽しみにしていただければ幸いです!